『Inscryption』クリア後感想。
ストーリーについては実際プレイして体験してほしいのでここでは多く語らないがとても良かったとだけ記しておく。
プレイヤーはまずゲームを始めようとする。コンテニューを選び薄暗い小屋の中で机を挟んで顔の見えない男とカードゲームをすることになる。
なぜコンテニューなのか?
そんなことよりこの男のボードゲームに対する情熱にすぐに気づくだろう。
架空の世界を構築し語る姿はまさにゲームマスターだ。
テーブルの上に置かれたマップを見れば暗く怪しい森の中を歩いている臨場感を感じ、前進するしかないフィギュアに自分が重なり始める。何度倒されても森の深くに立ち入ろうとしている自分に君も気づくだろう。
これがゲームだからそうしてるって?
まさかそんなはずないだろ彼の語る物語に引き込まれてるんじゃないのか?
ぼくはそうだ。
なぜかって?
ここには子供の頃にぼくが父親に聞かされた昔話や四方山話に似た雰囲気を携えた男が座ってるじゃないか辞める理由がどこにある。
ボードの上だけでも語ること尽きないがまあ落ち着いてあたりを見渡そう。
雪山のコテージは蠟燭の光で薄っすらオレンジ色にと照らされ落ち着いた雰囲気を湛えている。あたりには色々な仕掛けを備えた家具や置物が満ちている。
これは何だろうかと物色をしていると突っつきすぎたのか、鹿の目が赤く光りだしたり、蝋燭の灯を消してみたり、ささやかだがカードゲームで緊張した脳みそをリフレッシュしてくれる。
ようやく彼を打ち負かす。
もう写真を撮ってくれる男はいない。
誰もいない小屋の一室、不安と寂しさを抱える。
これからどうしたらいい?
これで終わってしまうのか?
もちろんエンドロールは流れていない。
ならやることは一つだ。タイトルに戻ってみる。やっぱりなコンテニューではなくニューゲームがあるじゃないか。
早速始めよう。
ああ彼がいる。
また一緒にゲームができる。
だがこのゲームはサービスの続く限り終わらない種類のものではないのだからどこかで終わりが来るんだ。
そんなことは頭の端に追いやって対戦しよう。対戦の果てにぼくらがたどり着く世界がなんだっていい。
すべての相手を打ち負かしエンドロールが流れゲームは強制的に終了する。
一つのゲームを終えてこんなに寂しく感じたのはいつ以来だろう。
なあ、今度はみんな一緒に写真を取ろう。こっちにきたらいつでも連絡をしてくれよ。