声が飛ぶ

ツイッチ配信者。プレイしたゲームの感想を主に書いていきます。

今年やってよかったゲーム『Slay the Spire』。

 数多くの後続作品を生んだデッキ構築型ローグライクの金字塔。とはいえ開発者もインタビューにて影響の受けた作品をいくつか上げその中のひとつ『Dream Quest』からは多大な影響を受けているように見える。

 正式版リリース時に動画配信でよく見ていたのでやらなくていいと思っていたが、この手のゲームをどれか一つ買うとしたら避けては通れない作品だと判断しオータムセールにて購入。

 もともとカードゲームが好きなのでこのゲームもしっかりハマった。

 複数のカードやレリックを見比べ、シナジーを考えながら塔を登っていくのはMTGのドラフトのようで楽しい。

 カードやレリックの効果を最大限生かした時の爽快感。

 使い方がわからなかったカードがランダム生成されて気づくシナジーの生み方。

 ブロックが足りずみるみるうちに削られていくHP。

 それならとブロックをいっぱい入れた結果相手を殴れず自分にデバフが山盛りになって相手はバフで頑丈。手も足も出ず敗北。

 このカードがあれば、なければと考えながら、店に向かう道中で金をむしり取られて何も買えずに出ていくしかない時の悲しみ。

 敵とデッキの嚙み合った時の上振れは嬉しいが下振れはできるだけ避けたい。そのためのデッキ構築をさじ加減が難しくだが面白い。

 一回のプレイ時間は短くて試行錯誤しやすい、空いた時間に気軽にできるのもいい点だ。

 カードゲームの魅力がしっかり詰まったいい作品。じっくり楽しんでLv20クリアまでたどり着きたい。軽く触るつもりが気づけば40時間。アセンションを高める毎日。現在Lv7。わかっていたがスルメゲーだ。

今年やってよかったゲーム。『真・女神転生3ノクターン』

 ニヒロ機構によって新たな世界を創造するためにトウキョウは滅び、悪魔の跋扈するボルテクス界に変貌する。トウキョウは砂に飲み込まれさながら辺獄だ。

 今作から導入されたプレスターンバトルは派生作品や後続にも受け継がれていく。

 このシステムは行動と決断の重要性が求められる。またストーリーにも深く結びついた稀有なシステムだ。このシステム油断すれば、なすすべもなく瓦解してしまう。

 作中の結末を決めるのはプレイヤーだ。いくつもの世界を提示され選び取らなければいけない。どれも厳しい世界のように思える。だが決めるしかない、以前の世界とは決別し新たな世界を創造するために。

 2003年に発売されたこの作品は90時代の暗い社会に根付いた価値観を色濃く反映しているのだろうか。価値観の違いを知るのも楽しかった。新作で提示される各勢力の考え方と比較すると時代の流れを感じ、新しく生まれ変わりながらも通奏低音するシリーズの魅力を改めて知ることのできる体験だった。

 奇しくも、真・女神転生5の発売された今年できたことを幸運に思う。

 

今年やってよかったゲーム。『In Other Waters』

 惑星グリーゼ677Ccで行方不明のパートナーを探すために学者ヴァスはAIのサポートを受けながら海中の探索を進める。

 テキストを読み込んでいくゲームだ。

 高等線で描かれたマップは非常にシンプルで色彩は鮮やかだ。ゆっくりとしたBGMも素晴らしい。

 マップ上の各ノードにはヴァスの観察し感じたことが書き込まれている。それを読み込むことでグリーゼの海中がどのようになってるかをプレイヤーは想像する。

 ときに海流や繁茂する海藻に阻まれるが、グリーゼの豊かな海の自然を感じられる。

 海中漂うプランクトンや海藻を集めその記録を読み込み、スケッチを眺める。未知の生物の記録が更新されていくたびに、各生物の相互作用によって生み出される生態系の編み物に驚かされる。

 世界は未知なるものに溢れていた。通りを歩くたびに新たな発見をし、なんなんだろうかと、首をひねる。図鑑やナショナルジオグラフィックのドキュメンタリーを見て目を輝かさせていた少年時代を思い出す。

 架空の惑星を舞台にした人間には理解できない生命体の営みをしっかり作り込んだ良作。

 あの選択肢をしていたらどうなっていたのだろうかと時々考えている。クリア後すぐにもう一周となるゲームではないので躊躇っていたが、年末にゆっくりできる時間をとってグリーゼに再訪しようと思っている。

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『Mutazione』 今年やってよかったゲーム。

 Mutazioneと呼ばれる島でコミュニティの人たちの話を聞きながら寄り添い植物を育てるアドベンチャーゲーム

 主人公のカイは祖父ノンノの住む島に行く。島の人たちは隕石の落下と共に奇妙なミュータントになってしまっている。人間らしい見た目をしているのは主人公や祖父のような他所から来た人だけだ。

 島の人たちは彼女を暖かく迎え入れる。

 カイは父親を事故で亡くしその過去が重くのしかかっている。

 町の人たちも様々な悩みを持って暮らしている。

 祖父は病気で臥せっており一日の大半をベットの上で過ごしている。彼は以前シャーマンとして島の人たちを精神的支えになっていた。

 カイは祖父に教えられながらシャーマンの代わりを任される。

 島のあちこちにある庭園で植物を育てるように祖父に言われ何もわからぬまま始めるがそこで島の人たちが打ち明け話をしてくれる。

 島での植物の役割は重要だ。自分の内側にある気持ちを庭園に咲く花に託し心の平衝を保つ助けになっている。植物を育てる際に音楽を聞かせてあげるのだが心地よいメロディで草花を眺めながら聞いていると気持ちが落ち着いてくる。

 カイは彼らの悩みに耳を傾ける。時には自分の感じたことを言うが、皆の言葉をしっかりと受け止めて寄り添う。そうすることで過去から一歩踏み出す勇気を与えているのだろう。つらい過去でふさぎ込んでしまいたいときに、自分のそばには支えてくれる人たちがいる。そう思うと未来に目を向けることができる。

 町の人たちの悩みは身近に起こりえる問題だ。

 ささやかなものから一歩間違えればすべてが壊れてしまうようなものまで多種多様だ。だから島の人たちを癒す存在が必要だった。祖父の代わりにカイはそれを成し遂げる。種をまき、口ずさみ、みなに寄り添う。そうして過去と向き合う土壌が次第に出来上がる。癒していたはずの自分も癒し、カイは元居た都会の生活に帰っていく。

 物語はそれで終わってしまうのだけれど、カイと彼らの思い出は決して色あせることなく残り続ける。

 嬉しいことにアップデートが来て、カイは彼らと手紙のやり取りをしているらしくその一部を読めるようになった。彼らの日常は穏やかでだが決して退屈なことなど感じさせない暮らしぶりをしているようだ。

 ぼくらは過去に根を張り育っていく。そこに土がないかのように育とうとすれば根はおかしな方へと向かっていくだろう。耐えがたい環境をないものとしてしまうのは今は楽だろう。だがゆっくりでいい、包み込むようにその土地を受入れよう。そうすればきっと今までより大きく枝葉を伸ばしきれいな花を咲かすだろう。

 『Mutazione』は植物のように育つ人の心を描いた素敵な物語だ。

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『Inscryption』クリア後感想。

 ストーリーについては実際プレイして体験してほしいのでここでは多く語らないがとても良かったとだけ記しておく。

 

 プレイヤーはまずゲームを始めようとする。コンテニューを選び薄暗い小屋の中で机を挟んで顔の見えない男とカードゲームをすることになる。

 なぜコンテニューなのか?

 そんなことよりこの男のボードゲームに対する情熱にすぐに気づくだろう。

 架空の世界を構築し語る姿はまさにゲームマスターだ。

 テーブルの上に置かれたマップを見れば暗く怪しい森の中を歩いている臨場感を感じ、前進するしかないフィギュアに自分が重なり始める。何度倒されても森の深くに立ち入ろうとしている自分に君も気づくだろう。

 これがゲームだからそうしてるって?

 まさかそんなはずないだろ彼の語る物語に引き込まれてるんじゃないのか?

 ぼくはそうだ。

 なぜかって?

 ここには子供の頃にぼくが父親に聞かされた昔話や四方山話に似た雰囲気を携えた男が座ってるじゃないか辞める理由がどこにある。

 ボードの上だけでも語ること尽きないがまあ落ち着いてあたりを見渡そう。

 雪山のコテージは蠟燭の光で薄っすらオレンジ色にと照らされ落ち着いた雰囲気を湛えている。あたりには色々な仕掛けを備えた家具や置物が満ちている。

 これは何だろうかと物色をしていると突っつきすぎたのか、鹿の目が赤く光りだしたり、蝋燭の灯を消してみたり、ささやかだがカードゲームで緊張した脳みそをリフレッシュしてくれる。

 ようやく彼を打ち負かす。

 もう写真を撮ってくれる男はいない。

 誰もいない小屋の一室、不安と寂しさを抱える。

 これからどうしたらいい?

 これで終わってしまうのか?

 もちろんエンドロールは流れていない。

 ならやることは一つだ。タイトルに戻ってみる。やっぱりなコンテニューではなくニューゲームがあるじゃないか。

 早速始めよう。

 ああ彼がいる。

 また一緒にゲームができる。

 だがこのゲームはサービスの続く限り終わらない種類のものではないのだからどこかで終わりが来るんだ。

 そんなことは頭の端に追いやって対戦しよう。対戦の果てにぼくらがたどり着く世界がなんだっていい。

 すべての相手を打ち負かしエンドロールが流れゲームは強制的に終了する。

 一つのゲームを終えてこんなに寂しく感じたのはいつ以来だろう。

 なあ、今度はみんな一緒に写真を取ろう。こっちにきたらいつでも連絡をしてくれよ。

怪談 ておくれ

 決して手を見せてはいけない。

 女はかつて盗みを繰り返し罰として両手を切り落とされた。切り落とされた時に意識を失った女は自分の手がどうしてなくなったのか覚えていない。そうして女はなくなった自分の手をいまでも探し続けている。

 

 その日は早く帰らなければならず私は普段は使わないひとけない抜け道を通ることにした。誰かがいる。女の格好は薄汚れている。髪の艶がなく手入れをしていないのか白髪が目立つ。

 「ちょっと、そこの人。それを落としたんだが見てのとおり手がないので代わりに取ってもらえないだろうか」

 私は不審に思ったが困っている人を見捨てるのは心苦しいから助けることにした。

 「あんたの持ってるそれ……いや……きれいな手だね」

 私は女のその言葉に曖昧な笑みで応じ、女の落とした財布を拾い上げた。

 「なんだあんたが持ってたのか」

 先ほどまでなかったはずの女の手がそこにあり私の手首を掴む。

 女は聞き取れない言葉でつぶやき続ける。

 私は振りほどこうと必死にもがくが、きつく握られた手を振りほどくことができない。助けを求めようとしたが声が出ない。

 「これは私のだよ。返してもらうからね」

 そう言って女はより一層強く私の手首を握りしめる。

 女の満面は笑みで私を見つめている。

 気が付くと私は自宅のベットの上にいた。どうやって帰ってきたのだろうか? そんな疑問より先に両手を確かめた。ない。これは悪い夢だ。だがあの時握られた手首にあざが残っている。否定を重ねるが意識は鮮明になる。

 鏡に映る私はひどくやつれて一回り老けたように見える。

 私の身に起きたことを周りにどう説明すればいいだろうか。

 警察に連絡をし、そのあと上司と相談した私は会社を長期休職することにした。

 私は横切る女性に目を凝らす。あの女はどこに行ったのだろうか?

 私はあの女を探している。

『The Outer Worlds』プレイ記録。

 科学者フィニアスが植民地星系ハルシオンを目指す移民船に眠る主人公を目覚めさせることから物語が始まる。主人公は入植者たちを助けてもらうよう頼まれ協力者としてキャプテン・ホーンソと合流するためテラ2に着陸する。

 だが協力者は主人公を乗せたポッドの下敷きになり死亡する。

 そこで協力者の所有する船に行き動力となる電源を確保することから始まる。

 

 このゲームはSF設定のオープンワールドRPGだ。

 この宇宙は幾つかの企業が所有しているらしくそこで働く人は企業の所有物らしい。そうした社会に満足している人もいれば嫌っている人たちもいる。プレイした感覚でいえばサイバーパンクディストピアな世界観だ。

 オープンワールドゲームなので主人公はどちらかの派閥に組しても良いし目的が終われば根こそぎにしてもいいんだろう。その辺は初プレイなのじっくり考えながら楽しみたい。

 

 こういうのでいいんだよ、こういうので。レトロフューチャーなイラストデザインやオールドスクールなSF設定。緊張感を減らすユーモアあるフレーバーテキスト

 お約束をしっかり守ったいいゲーム体験になりそうだ。